首のヘルニア

首で発生する症状として、有名なのは、「頚椎ヘルニア」です。原因としては、衝撃を吸収する椎間板の中にあるクッションが破れてしまい、線維輪に亀裂が生じます。そうして、内部に存在する髄核が飛び出してしまった状態を、このように呼んでいます。
このような椎間板の機能異常は痛みを引き起こし、外部に飛び出た髄核は、頚椎内部に存在している脊髄や神経根などの人間にとって重要となる神経組織を圧迫します。
そうしますと、この部分の痛みだけに留まらず、手足のしびれ・運動麻痺といった多岐に渡る神経症状を引き起こします。このような状態を発症しやすいのは30~50代であり、その辺りが最も発症率が高いと考えられています。
これは、先ほどの年齢層が問題の箇所にかかる負荷が最も多くなるということが根拠となっています。また、それ以外でも、年齢に関係なく、スポーツによる運動負荷や、先天的な生まれついての体質が原因となることもありますし、怪我などによる外傷が原因となって発生することもあります。
また、椎間板から外部に露出した髄核は、一昔前までは、そのままの状態を維持し続けるものと考えられていましたが、近年では髄核が飛び出した後であっても、その後、自然に吸収・消失の過程をとるケースも存在することが分かってきました。
そのため、治療法においても、手術を出来るだけ控え、保存的治療を行うという方向にシフトしてきています。手術を控えてきている理由としてはやはり、再発のリスクを恐れてのことです。
やはり、手術は大変なリスクを伴います。この近辺の組織には人間が生きていく上で、大変重要な神経がたくさん通っています。医師もこういった手術には大変危険があることを知っているため、進んで手術を薦めてくる医師は少ないことでしょう。
また、手術をしたとしても、半年以内の再発率は80%を超えているため、痛みやしびれを多少我慢してでも、手術を避けるという患者も大勢います。痛みやしびれは間違いなく、神経圧迫が原因ですが、手術は最終手段と考え、自然治癒や保存療法で治していくことが求められます。